IDE開業実践塾の講座「2つの事務所訪問」を終えた。
土曜の午後5時半、新御茶ノ水から地下鉄千代田線に乗る。
混んではいないが空いてもいない。混んではいないが空いてもいない
私は乗った乗車口ドアのわきに入りこんで文庫本をひろげた。
発車間際に女子高生?が飛び乗った。
同時にドアが閉まると、彼女はドアに背をもたれて文庫本を読み始める。
電車は湯島に着いてドアが開く。
彼女はドアにもたれた背をピンとして立つ。
外に背を向けたまま、動かない。
だがこの入り口にはだれも乗ってこなかった。
湯島を発車すると、こちら側のドアは西日暮里まで開かない。
彼女は西日暮里でどうするのだろうか、だ。
西日暮里でドアが開く。
彼女は再びドアにもたれた背をピンとして立つ。
外に背を向けたまま、動かない。
降りる客がいたが、彼女は動じないで本を読み続ける。
乗り込む客はたくさんいた。
最初に乗り込もうとした客は目の前の背中の壁に当惑して
ちょっと押したが、動じない。
客はいまいましげに彼女をよけて乗り込む。
次の客も押したが動じない。
そこですこし肩で押しながら乗る。でも動じない。
そのうち、客がワッと押し寄せた。
たちまち彼女は客のかたまりに押されて中に入った。
これには抵抗できなかった。
押されて中ほどに入り普通の乗客になり、本を読んでいる。
かたまりとなって入ってきた乗客たちは
彼女が壁を作っていたことを知らない。