IDE開業実践塾 IDE社労士塾 
2007年11月30日

事業主が押えておくべき「なぜ定年・再雇用で賃金は下がるのか」

 定年はいま、法律で徐々に65歳になりつつあります。でも61歳以上に定めている企業はほとんどありません。ほとんどの方が60歳で定年になります。

 ここで継続維持雇用:60歳を超えて仕事を続ける場合には再雇用となり、身分は嘱託になるのが一般的です。そして賃金は定年前より下がるのが普通です。

 私はいつも、定年前より賃金が下がるのはどういう理由なのだろうと考えていました。よく言われるのは体力が落ちて以前のように働けないからというもの。でも知識と経験はずっと豊富なのだからこれらは体力の衰えをカバーするのではないか。体力は理由にならないと思います。

 そんなことを考えていたらある日、日経新聞に「なぜ定年が存在するのか」という内容の記事が載っていました。なるほどと思われるので抜粋してご紹介いたします。

--------------------------------------------------------------  

 

 エドワード・ラジアー教授(現スタンフォード大学)による「なぜ定年制があるのか」という論文の中で、日本の定年制や年功賃金について考える上でも重要な示唆を与えてくれる。

 ここには重要なポイントが2つ記されている。1つは「若いときは貢献ほどに賃金が支払われないが、ある一定年齢を超えると貢献以上に賃金が支払われる」

 もうひとつは生涯で見れば「貢献と賃金の総額はほぼ一致する」という点である。

 この2つが年功賃金と終身雇用・定年制の特徴である。

 若いときに少なく支払われた賃金により、やがては支払われるべき未払い賃金が「人質」として企業に残るが、これは定年まで働くことにより戻ってくる。戦後日本の終身雇用・年功賃金制にもこの関係が当てはまる。

 年功賃金のもうひとつの重要な側面は「この賃金体系を通じて企業内の若い世代から年配の世代への所得移転が行われている」こと。若者が相対的に多い人口構成の下ではこうした世代間の所得移転は合理的なものだった。従業員にたいして、年を取るにつれて賃金が上がるという生活給的な所得を保証した

 ただこの年功賃金制は、定年制とセットになってはじめて成立する。ある一定年齢を超えた人には貢献以上の賃金が支払われているが、貢献以上の賃金はいつまでも払い続けることはできない。そこで、どこかの年齢で「定年」によってこの状況に終止符を打たねばならない。

 つまり年功賃金制が強固に運用されるほど、定年制もきちっと適用されなくてはいけない。定年制があるのは定年前の労働者が貢献以上の給与を受け取っているからである。

引用記事:

日経新聞 平成15年12月1日朝刊

経済教室「年金改革と高齢者雇用」 東大教授 伊藤元重

からの抜粋

------------------------------------------------------------------------

事業主の皆さま、いかがでしょうか
いままで、社員が定年になったとき、60歳になったときに賃金を下げたいと思い、
でもなんと言ったらいいだろうと悩んでいませんでしたか。
もし社員から「なぜ、60歳を過ぎると賃金がさがるのですか」と聞かれたらどうしよう。
と思っていませんでしたか。「他の会社もそうだから」という答えでは説得性がないと
分かっていたと思います。そんなとき、この答えが役に立つはずです。

多くの社員は「なぜ下がるのか」という質問をしないまま、多少の不満と諦めを持って
賃金の減少を受け入れるのだと思います。そのとき事業主として後ろめたさを持たずに
賃下げをする精神的な支えとして、押えておかれれば良いのではないでしょうか。

このスクラップ記事に興味がありましたらご一報ください。
電話 03−5298−4678
Fax  03−5298−4677
CZS03110@nifty.ne.jp

2007年12月08日

新入社員を定着させるには、現場管理職の教育から

  新卒と中途採用を問わず、どの企業も新入社員には試用期間を
設けています。
 お客様の就業規則を拝見しますと、試用期間はだいたい3ヶ月
で、まれに6ヶ月というところもあります。では試用期間中に会
社は新入社員になにをし、新入社員をどう判断すべきなのでしょ
うか。
 そもそも試用期間とは「ただちに本採用とはせず一定の期間試
みに使用し、その期間中に会社の従業員として適格であるか否か
を判断する」という期間です。会社が解約権を留保している期間
ともいえます。
 会社はこの期間に試用社員の勤務態度、能力、技能、性格等を
見て、正式社員として採用するか否かを決定します。その結果が
「否」と出た場合には、会社が当人の入社以来「留保していた解
約権」を行使することになります。
  一般的には「本採用としない」という表現で本人に通知します
が、法的には解雇をすることになります。
   従って入社から14日以内に「不適格につき採用せず」と通知
したのであれば即時解雇ができますが、15日以降の判断で「否」
とした場合は30日間の解雇予告期間が必要になります
。 
  解雇の理由は、正社員の解雇と違い就業規則に定められた解雇
事由やよりゆるくても良いとされています。それは採用した当初
は当人に関する適切な判定資料を十分に集めることができないこ
と、当人が会社への順応性があるかどうかが分からないことなど
があるからです。 
  本採用としない決定を下すには、試用期間中に新入社員へ十分
な教育をしていることが前提です。十分な教育をした上で「この
社員は使いものにならない」と判断しなければなりません。十分
な教育もせずに判断するのは片手落ちになります。

  
  以上は法的な解釈ですが、現実問題として新入社員へ仕事の段
取りや説明をしなかったり、職場へ配属したときにきちんと紹介
しないでいきなり放り込んだりすると、新入社員は孤立してしま
います。相談する相手もなく大きなプレッシャーを抱えてしまい、
本来はできることもできなくなってしまいます。
  せっかく高い募集費用をかけて採用した者を、現場サイドがい
い加減な対応をしてやめられてしまっては、たまったものではあ
りません。
  新入社員が活きるかどうかは現場での中間管理職の対応ひとつ
にかかっています。新入社員を活かすには、まず現場で中間管理
職が新入社員をきちんと迎え入れ、育てることが先決問題です。
  そのためには中間管理職を対象とした「新入社員と部下の管理
方法」教育から始
めることをお勧めします。いま経費の中で最も
高いのは人件費であり、人材は人財と言われる時代になっていま
す。中小企業は一般的に社員教育に割く時間をとりにくいようで
すが、これからの時代は社員の質がますます業績を左右すると思
われますので、ぜひ中間管理職の研修を実施されるようお勧めい
たします。

2009年11月18日

電車の延滞で遅刻した者が、定時を過ぎて仕事をしたらどうするか

「電車の延滞で遅刻した者が、定時を過ぎて仕事をしたらどうするか」

最近よく電車が止まります。
電車の遅れなどが原因で、社員が遅刻したときはどのように扱えばいいでしょうか。

対応策のひとつに、「始業・終業時刻の繰下げ」があります。
社員が遅刻した時間だけ、始業・終業時刻の繰下げを行います。
労働時間は変えず始業時刻を繰り下げることで、
繰下げた始業時刻から8時間後が終業時刻になります。(1日8時間労働の場合)
時間外時間は繰り下げた終業時刻からカウントすることになります。

繰下げは、社員個人ごとに行えます。
たとえば30分の遅刻者には30分の繰り下げをし、
1時間の遅刻者には1時間の繰り下げをすることができます。
このように、労働時間が1日8時間、1週40時間の範囲内であれば、
いかに繰上げ・繰下げを行っても、労働時間について労働基準法違反にはなりません。

ただし、これらの内容を就業規則に明記しておく必要があります。
たとえば
「公共交通機関のトラブルやその他やむを得ない事情がある場合、
または業務上臨時の必要がある場合、全部または一部の従業員について、
始業、終業および休憩の時刻を変更することがある。
この場合においても1日の勤務時間が第6条の時間を超えないこととする。」

上記の対応は労働時間の「繰下げをしてもよい」ということであり、
必ずそうしなくてはならない、ということではありません。
したがって
「公共機関の遅れが原因で遅刻した場合でも、本来の終業時刻に帰ってよい」
とする取り決めをしても一向にかまいません。

また、本来の定時の終業時刻のあとに仕事をさせる場合
  @ 残業とみなして本来の終業時刻後から割増賃金を支払う、
  A  まだ8時間にならないので繰り下げたあとの終業時刻まではなにも支払わない
どちらにするのも、御社が独自に取り決める事項です。

注意すべきことは、繰下げをした時間が深夜時間に入ってはいけません。

さらに細かいことや、うちのケースはちょっと違うというときは、
お問い合わせ下さい。

2008年08月08日

年次有給休暇を計画的に与える

[工夫して会社の目玉にしましょう!]

就業規則の中で、社員に関心の高いもののひとつが
年次有給休暇でしょう。
ところで、有給休暇は各社員の持ち分のうち
「5日を超える部分」について
会社側が計画的に与えることができる
ことを
ご存じでしょうか。
これを「年次有給休暇の計画的付与」といいます。

では計画的に与える「5日を超える部分」とは、
どういう意味でしょうか。

労働基準法に従った場合、社員は入社から半年が過ぎると、
半年以後の1年間に
「10日間、有給休暇を取る」ことができます。
それから少しづつ増えていって
6年半後には「年間20日」の有給休暇を取ることができます。

有給休暇の増え方を計画付与休暇の視点から考えますと、
年が経つごとに有給休暇が増えていきますから、
「5日を超える部分」も徐々に増えて行きます。

つまり「5日を超える部分」は、
半年目の人は5日、1年半が過ぎたら6日、
6年半後には15日になり、
各人によって5日を超える部分の日数が違うのです