定年はいま、法律で徐々に65歳になりつつあります。でも61歳以上に定めている企業はほとんどありません。ほとんどの方が60歳で定年になります。
ここで継続維持雇用:60歳を超えて仕事を続ける場合には再雇用となり、身分は嘱託になるのが一般的です。そして賃金は定年前より下がるのが普通です。
私はいつも、定年前より賃金が下がるのはどういう理由なのだろうと考えていました。よく言われるのは体力が落ちて以前のように働けないからというもの。でも知識と経験はずっと豊富なのだからこれらは体力の衰えをカバーするのではないか。体力は理由にならないと思っています。
そんなことを考えていたらある日、日経新聞に「なぜ定年が存在するのか」という内容の記事が載っていました。なるほどと思われるので抜粋してご紹介いたします。
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エドワード・ラジアー教授(現スタンフォード大学)による「なぜ定年制があるのか」という論文の中で、日本の定年制や年功賃金について考える上でも重要な示唆を与えてくれる。
ここには重要なポイントが2つ記されている。1つは「若いときは貢献ほどに賃金が支払われないが、ある一定年齢を超えると貢献以上に賃金が支払われる」
もうひとつは生涯で見れば「貢献と賃金の総額はほぼ一致する」という点である。
この2つが年功賃金と終身雇用・定年制の特徴である。
若いときに少なく支払われた賃金により、やがては支払われるべき未払い賃金が「人質」として企業に残るが、これは定年まで働くことにより戻ってくる。戦後日本の終身雇用・年功賃金制にもこの関係が当てはまる。
年功賃金のもうひとつの重要な側面は「この賃金体系を通じて企業内の若い世代から年配の世代への所得移転が行われている」こと。若者が相対的に多い人口構成の下ではこうした世代間の所得移転は合理的なものだった。従業員にたいして、年を取るにつれて賃金が上がるという生活給的な所得を保証した。
ただこの年功賃金制は、定年制とセットになってはじめて成立する。ある一定年齢を超えた人には貢献以上の賃金が支払われているが、貢献以上の賃金はいつまでも払い続けることはできない。そこで、どこかの年齢で「定年」によってこの状況に終止符を打たねばならない。
つまり年功賃金制が強固に運用されるほど、定年制もきちっと適用されなくてはいけない。定年制があるのは定年前の労働者が貢献以上の給与を受け取っているからである。
引用記事:
日経新聞 平成15年12月1日朝刊
経済教室「年金改革と高齢者雇用」 東大教授 伊藤元重
からの抜粋
